『精神保健相談のすすめ方Q&A』
金剛出版
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数年前、まだ電話相談始めた頃、ぴちぴちの若葉マークだった頃の必携だった。
今はもう要らなくなってしまった本の内のひとつ。
当時は、これと、『社会福祉の手引(東京都から出てる福祉制度の全容が載った本)』を横において、電話が来て詰まったら、ぺらぺらぺらぺら…とめくっては答えての繰り返し。
まあ、実際は、そういうことしない方が良いんだけど。
「Yes,but…」の提案すると爆発するタイプの人にまで提案してしまうことになる。
精神保健福祉相談の場合は、ただ傾聴していれば良い訳でも無く、適切にリファー及び情報提供しないといけないという別の業務が含まれている。 そんな時にこういう本があると便利かもしれない。
自分が仕事している領域外のことは案外疎いモノである。
広く浅くオールラウンダー的要素が求められる電話相談は、せめて知識だけでも詰められるだけは詰めておいた方が良い。
これは、掛けてくる人のためもあるけれど、どちらかというと相談員自身のため。
どうしようもなく逼迫した電話を取ってしまった場合の解決の糸口は知識であることも多い。
知っていれば出口が見えるけど、知らなければどん詰まりしてしまう。
で、この本はQ&Aよろしく、事例形式。
しかも割とよく遭遇して回答につまりそうな事例ばかりが載っていて、大変役に立つ。 これ、そのままセリフ回ししてもいけるかもしれないというぐらい応答も書いてある。
ひとつの事例につき、アセスメント(基本姿勢)と具体的展開案が示されている。
例えば、この本の中にある例だと
「虐待の可能性のある生徒がいるが担任としてどうすれば?」
「不登校2年目の小学6年生。このままでいいの?」
「高校2年の息子が、何度も手を洗い、長時間入浴するのですが。これは異常ですか」
「統合失調症ですが、結婚は出来ますか。子供は作れますか」
「うつ病の夫が重荷なんですが」
「夫がギャンブル依存で借金があって、どうすればいいですか」
「自分はアダルトチルドレンです。21歳で保健福祉系の学生なんですけど」
「73歳の母親の行動は認知症のはじまりなんでしょうか」
…などなど。 あるある、な感じでなおかつ微妙に答えにくそうなタイプの。
こういう電話、実は他職種がそれとなく電話してくることがある。
教師とか、クリニックのカウンセラーとか、包括のケアマネとか。
オイ!と思うのだけど仕方ない。
こういう質問に対して答えを用意しておけると電話相談もこわくない…はず。