巣立ちの話
田村先生のひきこもり支援の講演での話から抜粋。
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親鳥は、雛鳥を巣で育てて行く。 雛鳥は成長して、若鳥になる。
羽が生えそろえばもう、巣から飛び立って行ける。
でも、ちゃんと飛べるかわからない。
もしかしたら飛べなくて巣から落っこちちゃうかもしれない。
それが巣立ちを躊躇させる。
せっせと巣の中で大切に育て、無条件肯定を与えるのが母性。
「もう、ひとりで飛べるから大丈夫!」とひとりで進む勇気を与えるのが父性。
勿論、羽が生えそろってないのにGoサインを出してはダメだから、ちゃんと飛べるようになっているか見極めること、Goサインを出すタイミングをきちんと見極めることが大切。
日本社会では、母性性は根付いているけれど、父性性は弱い。
だから、子どもはいつまでも巣から離れられない。
「あなた…羽は生えてるの?ホントに大丈夫なの?」と訊いていては、いつまでたっても飛び立てない。
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そうだねえ。そうだなあ。としみじみした。
それを聴いて、僕は今日飛び立つことにしたんだよね。
ちゃんと飛べたから良かった。
支援者としてもそういう見極めをしてクライエントの巣立ちのために背中を押してあげられる力が必要だと思う。 ずっと関わってきた人に背中を押して貰えるのは、物凄い承認と愛とに満ちているはずだからだ。